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鷹飼ひのまだも来なくにつなぎ犬の
離れていかむなくるまつほど

歌の意味
鷹飼がまだ来ないのに、つないでおいた犬が離れて行ってしまいそうだ。鷹飼が来るのを待つ間に。
鑑賞
巻第七 物名 419

詞書「むなくるま」
 鷹飼がまだ来ないのに、つないでおいた犬が、その来るのを待つ間に離れて行ってしまいそうだと詠む歌と解される。鷹狩りを前にした落ち着かない様子を詠み、四句から結句にかけての「むなくるま」の音の続きに、詞書の「空車」の名を隠している。詞書の「むなくるま」は、この歌に詠み込まれた物の名である。
 作者の「すけみ」は藤原輔相である。藤原弘経の子で、藤六と呼ばれた平安時代中期の歌人である。物名の歌を得意とし、家集に藤六集がある。
 なお本文の四句は「いかむ」とあり、読み仮名の行の「ゆかむ」と一致しない。ここでは本文の表記に従う。

 初句「鷹飼ひの」は、鷹を飼い、鷹狩りに仕える人が、の意である。前々首の第四百十首のはし鷹と、鷹をめぐって響き合っている。
 二句「まだも来なくに」は、まだ来ないのに、の意で、「なくに」は逆接を表す。
 三句「つなぎ犬の」は、つないでおいた犬が、の意で、六音の字余りである。
 四句「離れていかむな」は、離れて行ってしまいそうだ、の意で、「な」は詠嘆と解される。末の「むな」と結句の頭の「くるま」とを続けて「むなぐるま」の名を隠している。
 結句「くるまつほど」は、来るのを待つ間に、の意で、倒置によって四句に続けている。

むなぐるま:人や荷を載せていない車。空車。「行かむな来る待つ」の音の続きに隠して詠み込む
たかがひ:鷹を飼い、鷹狩りに仕える人。鷹飼
作者
藤原輔相
出典
拾遺和歌集
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津の国の難波わたりに作る田は あしかなへかとえこそ見分かね
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ことぞとも聞きだに分かずわりなくも 人のいかるかにげやしなまし