古道に我やまどはむいにしへの
野中の草は茂りあひにけり
- 歌の意味
-
古い道で、私は迷ってしまうのだろうか。昔の野中の草は、すっかり生い茂ってしまったことだ。
- 鑑賞
-
巻第七 物名 375
詞書「やまと」
昔の野中の草がすっかり生い茂ってしまったので、古い道で自分は迷ってしまうのだろうかと詠む歌である。かつての道が草に埋もれていく時の移ろいの中に、二句の「我やまどはむ」の音の続きに、詞書の「大和」の名を隠している。詞書の「やまと」は、この歌に詠み込まれた物の名である。
作者の「すけみ」は藤原輔相である。藤原弘経の子で、藤六と呼ばれた平安時代中期の歌人である。物名の歌を得意とし、家集に藤六集がある。
初句「古道に」は、古い道で、の意である。
二句「我やまどはむ」は、私は迷うのだろうか、の意で、「や」は疑問の係助詞である。「やまど」に「やまと」の名を隠しており、ここで句切れとなる。前歌までの草木や鳥の名に対し、ここから地名を隠す歌が続いていく。
三句「いにしへの」は、昔の、の意である。
四句「野中の草は」は、野の中の草は、の意である。
結句「茂りあひにけり」は、すっかり生い茂ってしまったことだ、の意で、八音の字余りである。
やまと:大和。国の名。「我や惑はむ」の音の続きに隠して詠み込む
まどふ:道に迷う
ふるみち:古い道
- 作者
-
藤原輔相
- 出典
-
拾遺和歌集
- 前の歌
-
鶯のすはうごけども主もなし 風にまかせていづち去ぬらん
- 次の歌
-
住吉の岡の松かささしつれば 雨は降るともいなみのは着じ