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鶯のすはうごけども主もなし
風にまかせていづち去ぬらん

歌の意味
鶯の巣は揺れ動くけれども、その主の姿もない。風にまかせて、どこへ行ってしまったのだろう。
鑑賞
巻第七 物名 374

詞書「すはうごけ」
 鶯の巣は風に揺れ動いているが、その主の姿はなく、風にまかせてどこへ行ってしまったのだろうと詠む歌である。主のいない巣の寂しさの中に、二句の「すはうごけ」の音の続きに、詞書の「すはうごけ」の名を隠している。詞書の「すはうごけ」は、この歌に詠み込まれた物の名である。
 作者の「すけみ」は藤原輔相である。藤原弘経の子で、藤六と呼ばれた平安時代中期の歌人である。物名の歌を得意とし、家集に藤六集がある。

 初句「鶯の」は、鶯の、の意である。巻頭の第三百五十四首が巣を作る鶯を詠んだのに対し、ここでは主のいなくなった鶯の巣を詠み、巣をめぐって対をなしている。
 二句「すはうごけども」は、巣は揺れ動くけれども、の意で、「すはうごけ」の名を隠している。
 三句「主もなし」は、巣の主もいない、の意で、ここで句切れとなる。
 四句「風にまかせて」は、風の吹くのにまかせて、の意である。
 結句「いづち去ぬらん」は、どこへ行ってしまったのだろう、の意で、「らん」は現在推量の助動詞である。

すはうごけ:苔の一種の名とされるが、詳しくは明らかでない。「巣は動けども」の音の続きに隠して詠み込む
いづち:どちら。どこ
いぬ:去る。行ってしまう
作者
藤原輔相
出典
拾遺和歌集
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あだなりとひともときくる野辺しもぞ 花のあたりを過ぎがてにする
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