あだなりとひともときくる野辺しもぞ
花のあたりを過ぎがてにする
- 歌の意味
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浮ついたものだと人も言い続けてきた野辺であるのに、かえってその花のあたりを通り過ぎかねることだ。
- 鑑賞
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巻第七 物名 373
詞書「ひともときく」
野辺の花は浮ついたものだと人も言い続けてきたのに、かえってその花のあたりを通り過ぎかねると詠む歌である。あだな花と知りながら心をひかれる思いの中に、二句の「ひともときくる」の音の続きに、詞書の「ひともときく」の名を隠している。詞書の「ひともときく」は、この歌に詠み込まれた物の名である。
作者の「すけみ」は藤原輔相である。藤原弘経の子で、藤六と呼ばれた平安時代中期の歌人である。物名の歌を得意とし、家集に藤六集がある。
なお本文の三句は「のへしもそ」とあり、読み仮名の行の「ものしもそ」と一致しない。ここでは本文の表記に従う。
初句「あだなりと」は、浮ついたものだと、の意である。
二句「ひともときくる」は、人も説き来る、すなわち人も言い続けてきた、の意と解される。「ひともときく」の名を隠している。前歌までのひぐらしに続き、ここで再び花の名が詠まれる。
三句「野辺しもぞ」は、その野辺こそ、の意で、「しも」と係助詞「ぞ」で強めている。
四句「花のあたりを」は、花の咲くあたりを、の意である。
結句「過ぎがてにする」は、通り過ぎかねる、の意で、「がてに」は、〜できずに、の意を表し、係助詞「ぞ」を受けて連体形「する」で結ぶ。
ひともときく:一本菊。一本だけ咲く菊。「人も説き来る」の音の続きに隠して詠み込む
とく:言い聞かせる。説く
- 作者
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藤原輔相
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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松の音は秋の調べに聞こゆなり 高くせめあげて鳥ぞひくらし
- 次の歌
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鶯のすはうごけども主もなし 風にまかせていづち去ぬらん