厭へどもつらき形見を見る時は
まづたけからぬ音こそ泣かるれ
- 歌の意味
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嫌だと思っていても、つれない人の形見を見る時は、まず弱々しい泣き声が、思わず漏れてしまう。
- 鑑賞
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巻第七 物名 397
詞書「まつたけ」
嫌だと思っていても、つれない人の残した形見を見る時は、まず弱々しい泣き声が思わず漏れてしまうと詠む歌である。忘れたいのに忘れられない恋の嘆きを詠み、四句の「まづたけからぬ」の音の続きに、詞書の「松茸」の名を隠している。詞書の「まつたけ」は、この歌に詠み込まれた物の名である。
作者の「すけみ」は藤原輔相である。藤原弘経の子で、藤六と呼ばれた平安時代中期の歌人である。物名の歌を得意とし、家集に藤六集がある。
初句「厭へども」は、嫌だと思っても、の意で、「ども」は逆接の接続助詞である。
二句「つらき形見を」は、つれない人の形見を、の意である。
三句「見る時は」は、見る時は、の意である。
四句「まづたけからぬ」は、まず勇ましくない、弱々しい、の意で、前歌と同じく「まづたけ」に「まつたけ」の名を隠している。前歌は「まづ焚け」、ここは「まづ猛からぬ」と、同じ音を別の意に転じている。
結句「音こそ泣かるれ」は、声をあげて泣いてしまう、の意で、「るれ」は自発の助動詞「る」の已然形であり、係助詞「こそ」を受けて結ぶ。
まつたけ:松茸。「まづ猛からぬ」の音の続きに隠して詠み込む
かたみ:思い出の品。形見
いとふ:嫌がる。厭う
- 作者
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藤原輔相
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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あしひきの山下水に濡れにけり その火まづたけ衣あぶらん
- 次の歌
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山高み花の色をも見るべきに にくくたちぬる春霞かな