神奈備のみむろのきしや崩るらん
竜田の河の水の濁れる
- 歌の意味
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神奈備の三室山の岸が崩れているのだろうか。竜田川の水が濁っているのは。
- 鑑賞
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巻第七 物名 389
詞書「むろの木」
竜田川の水が濁っているのは、神奈備の三室山の岸が崩れているのだろうかと推し量る歌である。歌枕の取り合わせによる川の景の中に、二句の「みむろのきし」の音の続きに、詞書の「室の木」の名を隠している。詞書の「むろの木」は、この歌に詠み込まれた物の名である。
作者の「高向草春」は平安時代前期の人とされるが、伝の詳細は明らかでない。
古今和歌集の秋歌下に「竜田川もみぢ葉流る神奈備の三室の山に時雨降るらし」とあり、神奈備の三室山と竜田川は取り合わせて詠まれてきた。
初句「神奈備の」は、神のいます所の、の意で、三室山をいう。
二句「みむろのきしや」は、三室の岸が、の意で、「や」は疑問の係助詞である。「むろのき」の名を隠している。
三句「崩るらん」は、崩れているのだろうか、の意で、係助詞「や」を受けて連体形「らん」で結ぶ。ここで句切れとなり、倒置によって推量の根拠を後に示している。
四句「竜田の河の」は、竜田川の、の意である。前歌の流れる篝火に続き、川の景が詠まれる。
結句「水の濁れる」は、水が濁っているのは、の意で、連体形で止めて余情を残している。
むろのき:室の木。ねずの木の古名とされる。「三室の岸」の音の続きに隠して詠み込む
かむなび:神のいます所。神奈備
みむろ:神の降りる所。大和国の三室山
- 作者
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高向草春
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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篝火の所定めず見えつるは 流れつつのみたけばなりけり
- 次の歌
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いかりゐの石をくくみてかみこしは きさのきにこそ劣らざりけれ