篝火の所定めず見えつるは
流れつつのみたけばなりけり
- 歌の意味
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かがり火が場所を定めずに見えていたのは、舟が流れながら火を焚いていたからであったのだ。
- 鑑賞
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巻第七 物名 388
詞書「つつみのたけ」
かがり火が場所を定めずに見えていたのは、舟が流れながら火を焚いていたからだったと気づく歌である。川面を移ろう火の景を詠み、四句から結句にかけての「つつみのたけ」の音の続きに、詞書の「つつみのたけ」の名を隠している。詞書の「つつみのたけ」は、この歌に詠み込まれた物の名である。
作者の「紀輔時」は平安時代の官人で、伝の詳細は明らかでない。
初句「篝火の」は、かがり火が、の意である。本巻の第三百五十八首の沖に離れて燃える漁り火と、水上の火の景で響き合っている。
二句「所定めず」は、場所を定めずに、の意である。
三句「見えつるは」は、見えていたのは、の意で、「つる」は完了の助動詞「つ」の連体形である。
四句「流れつつのみ」は、流れながらばかり、の意である。結句の頭の「たけ」と続けて「つつみのたけ」の名を隠している。
結句「たけばなりけり」は、焚いていたからであったのだ、の意で、「けり」は気づきを表す。
つつみのたけ:地名とされるが、どこを指すかは明らかでない。「流れつつのみ焚けば」の音の続きに隠して詠み込む
かがりび:夜に照明として焚く火。篝火
たく:火を燃やす。焚く
- 作者
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紀輔時
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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飽かずして別れし人の住む里は さはこのみゆる山のあなたか
- 次の歌
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神奈備のみむろのきしや崩るらん 竜田の河の水の濁れる