飽かずして別れし人の住む里は
さはこのみゆる山のあなたか
- 歌の意味
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名残惜しいまま別れたあの人の住む里は、それでは、この見えている山の向こうなのだろうか。
- 鑑賞
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巻第七 物名 387
詞書「さはこのみゆ」
名残惜しいまま別れた人の住む里は、それではこの見えている山の向こうなのだろうかと思いやる歌である。山の彼方に別れた人を慕う心を詠み、四句の「さはこのみゆる」の音の続きに、詞書の「佐波古の御湯」の名を隠している。詞書の「さはこのみゆ」は、この歌に詠み込まれた物の名である。
初句「飽かずして」は、満ち足りないまま、名残惜しいまま、の意である。
二句「別れし人の」は、別れたあの人の、の意である。
三句「住む里は」は、住んでいる里は、の意である。
四句「さはこのみゆる」は、それでは、この見えている、の意で、「さは」は前のことを受けて、それでは、の意を表す。「さはこのみゆ」の名を隠している。本巻の第三百八十三首、第三百八十六首とともに、「みゆ」の音に温泉の名を隠す歌である。
結句「山のあなたか」は、山の向こうなのか、の意で、「か」は疑問を表す。
さはこのみゆ:佐波古の御湯。陸奥国の温泉。「さはこの見ゆる」の音の続きに隠して詠み込む
あなた:向こう。かなた
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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おぼつかな雲の通ひ路見てしがな とりのみゆけば跡はかもなし
- 次の歌
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篝火の所定めず見えつるは 流れつつのみたけばなりけり