おぼつかな雲の通ひ路見てしがな
とりのみゆけば跡はかもなし
- 歌の意味
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気がかりなことだ。雲の中の通い路を見てみたいものだ。鳥ばかりが行くので、跡形もない。
- 鑑賞
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巻第七 物名 386
詞書「なとりのみゆ」
空の雲の中の通い路を見てみたいが、鳥ばかりが行くので跡形もなく、気がかりだと詠む歌である。跡を残さない鳥の行方に空の道を思いやり、三句から四句にかけての「なとりのみゆ」の音の続きに、詞書の「名取の御湯」の名を隠している。詞書の「なとりのみゆ」は、この歌に詠み込まれた物の名である。
作者の「かねもり」は平兼盛である。光孝天皇の流れをくむ平氏の出で、平安時代中期の歌人である。天徳四年の内裏歌合での活躍で知られ、三十六歌仙に数えられる。
初句「おぼつかな」は、気がかりなことだ、の意で、ここで句切れとなる。
二句「雲の通ひ路」は、雲の中を行き来する道、の意である。
三句「見てしがな」は、見てみたいものだ、の意で、「てしがな」は願望を表す。ここで句切れとなり、末の「な」が四句に続いて名の頭になる。
四句「とりのみゆけば」は、鳥ばかりが行くので、の意で、「なとりのみゆ」の名を隠している。前歌の名取の郡に続き、名取の御湯が詠まれる。
結句「跡はかもなし」は、跡形もない、の意である。
なとりのみゆ:名取の御湯。陸奥国の温泉。「見てしがな鳥のみ行けば」の音の続きに隠して詠み込む
あとはか:跡形。行方の手がかり
かよひぢ:行き来する道。通い路
- 作者
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平兼盛
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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あだなりなとりのこほりに下りゐるは 下より解くることは知らぬか
- 次の歌
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飽かずして別れし人の住む里は さはこのみゆる山のあなたか