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荒れ果てて月もとまらぬわが宿に
秋の木の葉を風ぞ吹きける

歌の意味
荒れ果てて月さえとどまらない私の家に、風が秋の木の葉を吹き寄せてきたことだ。
鑑賞
巻第三 秋歌 136

詞書「月の明き夜、紅葉の散るを見てよめる」
 平兼盛が、月の明るい夜に紅葉が散るのを見て詠んだ歌である。
 荒れた家には月さえとどまらないのに、風だけは秋の木の葉を吹き寄せてくるという。訪れる人もない荒れ宿の寂しさを、月と風、とどまらないものと吹き込むものの対比で描いている。

 初句「荒れ果てて」は、すっかり荒れてしまってという意で、住まいの荒廃を示す。
 二句「月もとまらぬ」は、月さえとどまらないという意で、「も」は月までもという含みをもつ。
 三句「わが宿に」は、自分の家にという意である。
 四句「秋の木の葉を」は、本巻の第百三十三首の四句と同じ語で、落葉の歌を続ける。
 結句「風ぞ吹きける」は、風が吹き寄せたという意で、係助詞「ぞ」を連体形「ける」で結ぶ係り結びである。
作者
平兼盛
出典
詞花和歌集
前の歌
名残なく時雨の空は晴れぬれど まだ降るものは木の葉なりけり
次の歌
秋深み紅葉落ち敷く網代木は 氷魚のよるさへ赤く見えけり