古典和歌stream

名残なく時雨の空は晴れぬれど
まだ降るものは木の葉なりけり

歌の意味
時雨の空は跡形もなく晴れてしまったが、まだ降っているものは木の葉であったよ。
鑑賞
巻第三 秋歌 135

詞書「雨後落葉といふことをよめる」
 源俊頼が「雨後落葉」すなわち雨の後の落葉という題で詠んだ歌である。
 時雨がすっかり上がった後も、なお降りしきるものがあると思えば、それは木の葉であったという。雨と落葉を「降る」という一語でつなぎ、時雨の名残を落葉に見いだした機知の歌である。

 初句「名残なく」は、跡形もなくという意である。
 二句「時雨の空は」は、晩秋から初冬に降ったりやんだりする時雨の空はという意である。
 三句「晴れぬれど」は、すっかり晴れてしまったけれどという逆接である。
 四句「まだ降るものは」は、まだ降っているものはという意で、雨と落葉を「降る」でつなぐ。
 結句「木の葉なりけり」は、木の葉であったという気づきの詠嘆で結ぶ。本巻の第百三十三首の「秋の木の葉」に続き、木の葉を詠む。

しぐれ:晩秋から初冬にかけて降ったりやんだりする雨
作者
源俊頼
出典
詞花和歌集
前の歌
春雨のあや織りかけし水の面に 秋は紅葉の錦をぞ敷く
次の歌
荒れ果てて月もとまらぬわが宿に 秋の木の葉を風ぞ吹きける