あだなりなとりのこほりに下りゐるは
下より解くることは知らぬか
- 歌の意味
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はかないことだな。鳥が氷の上に降りているのは、氷が下から解けることを知らないのか。
- 鑑賞
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巻第七 物名 385
詞書「なとりのこほり」
鳥が氷の上に降りているのは、氷が下から解けることを知らないのかと、そのはかなさを案じる歌である。頼りない足場に身を置く鳥の危うさを詠み、初句から二句にかけての「なとりのこほり」の音の続きに、詞書の「名取の郡」の名を隠している。詞書の「なとりのこほり」は、この歌に詠み込まれた物の名である。
作者の「しけゆき」は源重之である。清和源氏の出で、地方官を歴任して諸国を旅し、陸奥で没したと伝えられる。三十六歌仙に数えられる。
初句「あだなりな」は、はかないことだな、の意で、「な」は詠嘆の終助詞である。ここで句切れとなる。
二句「とりのこほりに」は、鳥が氷に、の意である。初句の末の「な」と続けて「なとりのこほり」の名を隠している。次歌の第三百八十六首も名取の地名を隠しており、名取の歌が二首並ぶ。
三句「下りゐるは」は、降りてとどまっているのは、の意である。
四句「下より解くる」は、下から解ける、の意で、三句の「下り」と「下」とを響かせている。
結句「ことは知らぬか」は、ことは知らないのか、の意で、「か」は疑問を表す。
なとりのこほり:名取の郡。陸奥国の郡の名。「あだなりな鳥の氷」の音の続きに隠して詠み込む
おりゐる:降りてとどまる
- 作者
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源重之
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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茎も葉もみな緑なる深芹は あらふねのみやしろく見ゆらん
- 次の歌
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おぼつかな雲の通ひ路見てしがな とりのみゆけば跡はかもなし