古典和歌stream

白波に羽うちかはし浜千鳥
悲しき声は夜の一声

歌の意味
白波の上で羽を交わし合う浜千鳥の、悲しく聞こえる声は、夜に聞こえるひと声である。
鑑賞
巻第六 冬歌 644

詞書「題しらず」
 千鳥を詠む一連の四首目である。白波の上で羽を交わし合う浜千鳥の、悲しく聞こえるのは夜のひと声であると詠む。詞書は題しらずで、詠まれた事情は記されていない。
 作者は清和源氏の出で、三十六歌仙の一人である。晩年は陸奥守藤原実方に従って陸奥に下り、その地で没した。
 場面は夜、場所は白波の寄せる浜辺である。
 直接の契機は伝わらない。

 初句「白波に」は、白く寄せる波の上に、の意である。
 二句「羽うちかはし」は、羽を交わし合って、の意で、千鳥が群れて飛ぶさまをいう。
 三句「浜千鳥」は、浜辺にすむ千鳥をいう。
 四句「悲しき声は」は、悲しく聞こえる声は、の意である。
 結句「夜の一声」は体言止めで、夜に聞こえるひと声をいう。波の上に羽を交わして群れる姿を示したうえで、悲しく響くのは夜の闇に聞こえるただ一声だとして、群れと一声とを対比している。前歌までの河原や川の千鳥から浜辺の千鳥へと移り、次歌の第六百四十五首も海の上を渡る千鳥を詠んでいる。

うちかはす:互いに交わし合う
はまちどり:浜辺にすむ千鳥
作者
源重之
出典
新古今和歌集
その他の歌