夕なぎに門渡る千鳥波間より
見ゆる小島の雲に消えぬる
- 歌の意味
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夕凪の中を海峡を渡ってゆく千鳥が、波間から見える小島にかかる雲の中へと消えてしまった。
- 鑑賞
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巻第六 冬歌 645
詞書は前の歌に続き「題しらず」
千鳥を詠む一連の五首目である。夕凪の海峡を渡る千鳥が、波間に見える小島にかかる雲の中に消えてゆくと詠む。詞書は前歌から続き題しらずで、詠まれた事情は記されていない。
作者は右大臣藤原公能の子で、左大臣に至った。徳大寺左大臣と呼ばれた祖父藤原実能に対して、後徳大寺左大臣と呼ばれた。
場面は夕凪の頃、場所は小島の見える海峡である。
直接の契機は伝わらない。
初句「夕なぎに」は、夕方に風が止み海が静まる中に、の意である。
二句「門渡る千鳥」の「門」は、海峡や川口など、陸にはさまれた狭い水路をいう。そこを渡ってゆく千鳥をいう。
三句「波間より」は、波の間から、の意で、四句の「見ゆる」にかかる。
四句「見ゆる小島の」は、見える小島の、の意である。
結句「雲に消えぬる」は、雲の中に消えてしまった、の意で、「ぬる」は完了の助動詞「ぬ」の連体形であり、連体形で結んで余情を残す。飛び去る千鳥を目で追い、遠くの小島にかかる雲の中に見失うまでを一首に収め、声ではなく姿によって千鳥を詠んでいる。前歌が夜の一声という声で千鳥を捉えたのに対し、この歌は夕凪の空に消える姿で捉えており、声と姿とが対になっている。
ゆふなぎ:夕方に風がやんで、海が静まること
と:海峡や川口など、陸にはさまれた狭い水路
こじま:小さな島
- 作者
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藤原実定
- 出典
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新古今和歌集
- その他の歌
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