浦風にふきあげの浜の浜千鳥
波立ち来らし夜半に鳴くなり
- 歌の意味
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浦風が吹き上げる吹上の浜の浜千鳥よ。波が立って寄せて来るらしい、夜半に鳴く声がする。
- 鑑賞
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巻第六 冬歌 646
詞書「堀河院に百首歌奉りけるに」
千鳥を詠む一連の六首目である。浦風の吹き上げる吹上の浜の浜千鳥が夜半に鳴くのを聞き、波が立ち寄せて来るらしいと推し量る。詞書によれば、堀河院に百首歌を奉った折の歌である。
作者は後朱雀天皇の皇女祐子内親王に仕えた女房で、母は同じく祐子内親王家に仕えた小弁である。実名は伝わらない。
場面は夜半、場所は紀伊国の吹上の浜である。
直接の契機は、堀河天皇に奉った百首歌、いわゆる堀河百首での詠である。
初句「浦風に」は、浜辺に吹く風に、の意である。
二句「ふきあげの浜の」は紀伊国の歌枕で、今の和歌山市の紀ノ川河口あたりの浜である。「ふきあげ」には、浦風が「吹き上げ」る意と、地名の「吹上」が掛けられている。
三句「浜千鳥」は、浜辺にすむ千鳥をいい、本巻の第六百四十四首の三句と同じ語である。
四句「波立ち来らし」は、波が立って寄せて来るらしい、の意で、「らし」は根拠に基づいて推し量る推定の助動詞である。
結句「夜半に鳴くなり」の「なり」は、音によって推し量る伝聞推定の助動詞である。夜半の千鳥の声を根拠に、見えない浜に波が立ち寄せてくることを推し量る構成で、波に追われて鳴く千鳥を耳で捉えている。前歌が夕凪の海を渡る千鳥を詠んだのに対し、この歌は風の吹いて波の立つ夜半の浜の千鳥を詠み、凪と風、夕べと夜半とが対になっている。次歌の第六百四十七首も、同じ吹上の千鳥を詠んでいる。
うらかぜ:浜辺に吹く風
ふきあぐ:風が吹き上げる意と、地名の吹上を掛ける
- 作者
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祐子内親王家紀伊
- 出典
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新古今和歌集
- その他の歌
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