小夜千鳥声こそ近くなるみ潟
かたぶく月に潮や満つらん
- 歌の意味
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夜の千鳥の声が近くなってきた、鳴海潟よ。西に傾く月のもとで、潮が満ちてきているのだろうか。
- 鑑賞
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巻第六 冬歌 648
詞書「千五百番歌合に」
千鳥を詠む一連の八首目である。鳴海潟で夜の千鳥の声が近くに聞こえるようになったのを、傾く月のもとで潮が満ちてきたためかと推し量る。詞書によれば、千五百番歌合で詠まれた歌である。
作者は平安時代末期から鎌倉時代初期の廷臣で、正三位に至った。
場面は月の傾く夜更け、場所は尾張国の鳴海潟である。
直接の契機は、後鳥羽院が催した千五百番歌合での詠である。
初句「小夜千鳥」は、夜に鳴く千鳥をいう。
二句「声こそ近く」は、声が近く、の意で、係助詞「こそ」が「声」を強く取り立てる。姿は見えず、声だけが近づいてくることを示す。
三句「なるみ潟」は尾張国の歌枕で、今の名古屋市緑区のあたりにあった干潟である。「なる」には、声が近く「なる」意と、地名の「鳴海」が掛けられている。
四句「かたぶく月に」は、西に傾いてゆく月のもとで、の意である。三句の「潟」と「かたぶく」とで「かた」の音が重ねられている。
結句「潮や満つらん」は、疑問の係助詞「や」を受けて推量の助動詞「らん」の連体形で結び、潮が満ちてきているのだろうか、と推し量る。潮が満ちると干潟が狭まり、千鳥が岸近くへ寄ってくるため、声の近づくことから潮の満ちることを推し量る構成である。前歌が月の澄む吹上の千鳥を詠んだのに続き、傾く月のもとの鳴海潟の千鳥を詠み、次歌の第六百四十九首、第六百五十首も鳴海の千鳥を詠んでいる。
さよちどり:夜に鳴く千鳥
なるみがた:声が近くなる意に、地名の鳴海潟を掛ける
- 作者
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藤原季能
- 出典
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新古今和歌集
- その他の歌
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