思ひやるよその村雲しぐれつつ
安達の原に紅葉しぬらん
- 歌の意味
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遠く思いを馳せるあちらの空の村雲は時雨を降らせつづけ、安達の原では木々がすっかり紅葉していることだろう。
- 鑑賞
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巻第十五 恋歌五 1351
詞書「陸奥の安達に侍りける女に、九月ばかりつかはしける」
秋の色の移ろいを詠む一連の一首目である。遠くの村雲が時雨を降らせ、安達の原では紅葉しているだろうと思いやり、相手の心の移ろいをも案じる。詞書によれば、陸奥の安達にいた女に、九月ごろ贈った歌である。
作者の「重之」は、清和源氏の源兼信の子で、姓を源という歌人である。三十六歌仙の一人で、地方官を歴任し、晩年は陸奥に下った。
安達の原は陸奥国の歌枕で、現在の福島県二本松市の辺りにあたる。『拾遺和歌集』の平兼盛の歌に、鬼がこもるという黒塚とともに詠まれている。
初句「思ひやる」は、遠く離れた所を思いやる、の意である。
二句「よその村雲」は、自分のいる所とは別の、遠い空の群がった雲をいう。
三句「しぐれつつ」は、時雨が降りつづいて、の意である。時雨は木の葉を染めるものとされ、四句、結句の紅葉を導く。
四句「安達の原に」で、女のいる陸奥の歌枕が示される。
結句「紅葉しぬらん」の「らん」は、目の前にないことを推し量る現在推量である。前歌までの涙の露や河から、ここで秋の色の移ろいへと転じ、次歌の「色かはる秋」へと続いていく。
むらくも:群がり集まった雲
しぐる:時雨が降る
もみづ:木の葉が色づく
- 作者
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源重之
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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つゆばかり置くらん袖は頼まれず 涙の河の滝つ瀬なれば
- 次の歌
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身に近く来にけるものを色かはる あきをばよそに思ひしかども