今までも消えでありつる露の身は
置くべき宿のあればなりけり
- 歌の意味
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今まで消えずに生きながらえてきた露のような我が身は、身を置くべき宿、つまりあなたがいたからこそなのだった。
- 鑑賞
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巻第十三 恋歌五 922
詞書「男の病にわづらひて、まからで久しくありてつかはしける」
今まで消えずにいた露のような我が身は、身を置くべき宿があったからなのだった、と詠んだ歌である。病で死にかけた身を露にたとえ、それでも生きながらえたのはあなたという宿があったからだと、相手への思いを伝えている。
詞書によれば、男が病気になって長く女のもとへ行かずにいて、その後に送った歌である。次歌の第九百二十三首にはこれに対する女の返しが置かれ、露と宿の語を受けて答えている。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。
初句「今までも」は、今までも、の意である。
二句「消えでありつる」は、消えないでいた、の意で、「で」は打消しの接続助詞である。病で死なずに生きてきたことを表している。
三句「露の身は」は、露のようにはかない我が身は、の意で、二句の「消え」と縁語になっている。
四句「置くべき宿の」は、身を置くべき宿が、の意で、露が「置く」ことに身を寄せることを重ね、相手をたとえている。
結句「あればなりけり」は、あったからなのだった、の意で、「けり」は気づきの詠嘆を表している。
つゆのみ:露のように消えやすい、はかない身
やど:身を寄せる所、住まい
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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思はむと我を頼めし言の葉は 忘れ草とぞ今はなるらし
- 次の歌
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言の葉もみな霜枯れになりゆくは 露の宿りもあらじとぞ思ふ