恋すてふ名をだに流せ涙川
つれなき人も聞きやわたると
- 歌の意味
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恋をしているという評判だけでも流しておくれ、涙の川よ。つれないあの人も、聞き知ってくれるかもしれないから。
- 鑑賞
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巻第七 恋歌上 359
涙の川に呼びかけ、せめて自分が恋をしているという評判だけでも世に流してほしい、そうすればつれないあの人も聞いてくれるかもしれない、と詠む歌である。涙川、流す、わたると川にかかわる語を連ね、思いの届かない恋を訴えている。
伝本の中には、「題しらず」とするものがある。
本巻の第三百七十九首の初句も「恋すてふ」で、恋をしているという評判を詠んでいる。本巻の第三百七十五首から第三百七十七首にも涙の川が詠まれている。
初句「恋すてふ」は恋をしているというの意で、「てふ」は「といふ」がつまった形である。本巻の第三百七十九首の初句と同じ句である。
二句「名をだに流せ」は評判だけでも流せの意で、「名」は評判、副助詞「だに」はせめて〜だけでもの意を表す。「流す」は三句の「涙川」の縁語である。
三句「涙川」は涙が川のように流れるさまをいう歌語で、呼びかけの形である。ここで句切れとなる三句切れの歌である。本巻の第三百七十六首、第三百七十七首の初句と同じ語である。
四句「つれなき人も」は冷淡なあの人もの意である。
結句「聞きやわたると」は聞き続けてくれるかとの意で、「わたる」は川を渡る意を響かせ、三句の「涙川」と縁語をなしている。
なみだがは:涙が川のように流れるさまをいう
わたる:し続ける。川を渡る意を響かせる
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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金葉和歌集
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朝寝髪誰が手枕にたはつけて 今朝は形見と振り越して見る
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何せむに思ひかけけむ唐衣 恋しきことはみさをならぬに