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何せむに思ひかけけむ唐衣
恋しきことはみさをならぬに

歌の意味
どうしてあの人に思いをかけてしまったのだろう。唐衣を掛けるように。恋しく思う心は、平静に保てるものではないのに。
鑑賞
巻第七 恋歌上 360

 どうしてあの人に思いをかけてしまったのだろう、恋しく思う心は平静に保てるものではないのに、と悔やむ歌である。衣を掛けることに思いを掛けることを重ね、恋に乱れる心を嘆いている。語句の解釈には諸説がある。
 伝本の中には、「題しらず」とするものがある。

 初句「何せむに」はどうしての意で、疑問を表している。
 二句「思ひかけけむ」は思いをかけてしまったのだろうの意で、「かけ」は思いを掛ける意に、衣を掛ける意を重ねている。過去推量の「けむ」を用い、ここで句切れとなる二句切れの歌である。
 三句「唐衣」は中国風の美しい衣で、二句の「かけ」と縁語をなしている。
 四句「恋しきことは」は恋しく思うことはの意である。
 結句「みさをならぬに」は平静を保てるものではないのにの意で、「みさを」は心を変えずに保つことをいう。

からころも:中国風の美しい衣
みさを:心を変えず平静に保つこと
作者
よみ人しらず
出典
金葉和歌集
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恋すてふ名をだに流せ涙川 つれなき人も聞きやわたると
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