常磐なる吉備の中山おしなべて
千歳をまつの深き色かな
- 歌の意味
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常緑で変わらない吉備の中山は、一面に、千年を待つ松の深い緑の色であることだ。
- 鑑賞
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巻第七 賀歌 747
詞書「天暦御時大嘗会主基備中国中山」
大嘗会の歌の一連の一首目である。常緑の吉備の中山は一様に、千年を待つ松の深い色であると詠む。詞書によれば、天暦の御代の大嘗会で主基の国となった備中国の中山を詠んだ歌である。
作者名は伝わらない。
場面は天暦の御代の大嘗会、場所は備中国の吉備の中山である。
直接の契機は、天暦の御代、村上天皇の大嘗会で主基の国に定められた備中国の地名を詠んだことである。
大嘗会では、新穀を献じる国として東の悠紀の国と西の主基の国が占いで定められ、その国の地名を詠んだ歌が奉られた。吉備の中山は備中国の歌枕で、今の岡山市にある山である。『古今和歌集』巻二十にも「まがねふく吉備の中山帯にせる細谷川の音のさやけさ」がある。
初句「常磐なる」は、常緑で変わらない、の意である。本巻の第七百三十一首も同じ初句で始まり、常緑の松を詠む。
二句「吉備の中山」は、主基の国である備中国の歌枕である。大嘗会の歌として、国の名所が詠み込まれる。
三句「おしなべて」は、一様に、すべて、の意である。本巻の第七百三十五首の初句と同じ語で、そこでは木々一様の浅緑と松の千代の色を対比したのに対し、ここでは山全体が一様に松の深い色であるとする。
四句「千歳をまつの」の「まつ」は、千年を「待つ」意と、「松」を掛けた掛詞である。本巻の第七百二十六首の「万代をまつの尾山」と同じ掛詞である。
結句「深き色かな」は、深い色であることだ、の意で、詠嘆の「かな」で結ぶ。本巻の第七百三十五首の「浅緑」に対し「深き色」を置き、浅と深の対比で千年の松の緑を示す。ここから巻末まで大嘗会の歌が続き、賀歌の巻は即位の祝いで締めくくられる。
ゆき:大嘗会で新穀を献じる二国のうち、東の国
すき:大嘗会で新穀を献じる二国のうち、西の国
まつ:待つ意と、松を掛ける
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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新古今和歌集
- その他の歌
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