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河きしのをどり下るべき所あらば
憂きに死にせぬ身は投げてまし

歌の意味
川岸に、飛び降りることのできる所があるならば、つらさにも死なずにいるこの身を、投げてしまうだろうに。
鑑賞
巻第七 物名 401

詞書「きしのをとり」
 川岸に飛び降りられる所があるならば、つらさにも死にきれずにいるこの身を投げてしまうだろうにと詠む歌である。生きることのつらさを嘆く思いの中に、初句から二句にかけての「きしのをどり」の音の続きに、詞書の「きしのをとり」の名を隠している。詞書の「きしのをとり」は、この歌に詠み込まれた物の名である。
 作者の「すけみ」は藤原輔相である。藤原弘経の子で、藤六と呼ばれた平安時代中期の歌人である。物名の歌を得意とし、家集に藤六集がある。

 初句「河きしの」は、川岸の、の意である。二句の頭の「をどり」と続けて「きしのをとり」の名を隠している。
 二句「をどり下るべき」は、躍り降りることのできる、の意である。前歌の豆の名に続き、ここから鳥の名を隠す歌が続いていく。
 三句「所あらば」は、所があるならば、の意で、未然形に「ば」がついて仮定を表す。
 四句「憂きに死にせぬ」は、つらさのために死ぬこともない、の意である。
 結句「身は投げてまし」は、身を投げてしまうだろうに、の意で、「まし」は事実に反することを仮定する助動詞であり、三句の仮定を受けている。

きしのをとり:鳥の名と見られるが、詳しくは明らかでない。「河岸の躍り」の音の続きに隠して詠み込む
をどる:跳び上がる。躍る
作者
藤原輔相
出典
拾遺和歌集
前の歌
いさりせし海人の教へしいづくぞや しまめぐるとてありと言ひしは
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紅葉葉に衣の色はしみにけり 秋の山からめぐりこしまに