花の色をあらはに愛でばあだめきぬ
いざくらやみになりてかざさむ
- 歌の意味
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花の色をあらわに賞美すると、浮ついた振る舞いに見えてしまう。さあ、暗闇になってから花を髪に挿そう。
- 鑑賞
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巻第七 物名 355
詞書「さくら」
花の色を人目もはばからずに賞美すると浮ついて見えるので、暗闇になってから花を髪に挿そうと詠む歌である。花を愛でる心を人目に恥じらう趣の中に、四句の「いざくらやみ」の音の続きに詞書の「桜」の名を隠している。詞書の「さくら」は、この歌に詠み込まれた物の名である。
初句「花の色を」は、花の色を、の意である。前歌の紅梅に続き、春の花が詠まれる。
二句「あらはに愛でば」は、あらわに賞美するならば、の意で、未然形に「ば」がついて仮定を表す。
三句「あだめきぬ」は、浮ついて見えてしまう、の意で、「ぬ」は完了の助動詞である。ここで句切れとなる。
四句「いざくらやみに」は、さあ暗闇に、の意で、「いざ」は人を誘う語である。「いざくらやみ」の音の続きの中に「さくら」の名を隠している。
結句「なりてかざさむ」は、なってから髪に挿そう、の意で、「む」は意志の助動詞である。二句の「あらはに」と四句の「くらやみ」とが対をなしている。
さくら:桜。「いざ暗闇」の音の続きに隠して詠み込む
かざす:花や枝を髪に挿して飾る
あだめく:浮ついて見える
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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鶯の巣作る枝を折りつれば こうばいかでか産まむとすらん
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旅のいはやなき床にも寝られけり 草の枕に露は置けども