わたつ海の沖なかにひのはなれ出でて
燃ゆと見ゆるは海人のいさりか
- 歌の意味
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大海の沖の中に火が離れて出て、燃えていると見えるのは、海人の漁り火であろうか。
- 鑑賞
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巻第七 物名 358
詞書「かにひの花」
大海の沖の中に火がぽつんと離れて燃えているように見えるのは、海人の漁り火であろうかと詠む歌である。夜の海に浮かぶ火の景の中に、二句から三句にかけての「なかにひのはな」の音の続きに、詞書の「かにひの花」の名を隠している。詞書の「かにひの花」は、この歌に詠み込まれた物の名である。
作者の「伊勢」は、平安時代前期から中期の女流歌人で、藤原継蔭の娘である。宇多天皇の中宮温子に仕え、中務の母となった。三十六歌仙に数えられる。
初句「わたつ海の」は、大海の、の意である。
二句「沖なかにひの」は、沖の中に火が、の意である。「かにひの」と三句の頭の「はな」とを続けて「かにひのはな」の名を隠している。
三句「はなれ出でて」は、離れて出て、の意で、六音の字余りである。
四句「燃ゆと見ゆるは」は、燃えていると見えるのは、の意である。
結句「海人のいさりか」は、海人の漁り火であろうか、の意で、「か」は疑問を表す。
かにひのはな:植物の名とされるが、どの花を指すかは明らかでない。「沖中に火の離れ」の音の続きに隠して詠み込む
わたつうみ:海。大海
いさり:夜に火をたいて魚をとること。漁り
- 作者
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伊勢
- 出典
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拾遺和歌集
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鳴く声はあまたすれども鶯に まさるとりのはなくこそありけれ
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濃き色がいつはた薄くうつろはむ 花に心もつけざらんかも