君見よと尋ねて折れる山桜
古りにし色と思はざらなん
- 歌の意味
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あなたに見てほしいと、わざわざ尋ね求めて折った山桜である。盛りを過ぎた古びた色だとは思わないでほしい。
- 鑑賞
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巻第三 春歌下 115
詞書「山桜を折りて送り侍るとて」
あなたに見てほしいとわざわざ探して折った山桜だから、盛りを過ぎた古びた色だとは思わないでほしいと、桜に添えて贈った歌である。花を求めて山に分け入った心遣いを伝え、贈り物を受け取る相手を気遣っている。
詞書によれば、山桜を折って贈るときに添えたものである。
作者の伊勢は伊勢守藤原継蔭の娘で、宇多天皇の中宮温子に仕えた。宇多天皇の寵愛を受け、のちに敦慶親王との間に中務をもうけた。三十六歌仙の一人である。
初句「君見よと」は、あなたに見てほしいと、の意である。
二句「尋ねて折れる」の「尋ぬ」は探し求める意で、「る」は存続の助動詞「り」の連体形である。わざわざ探して折った、の意を表す。
三句「山桜」は、山に咲く桜を示す。本巻の第百十八首、第百十九首にも山桜が詠まれている。
四句「古りにし色と」の「古る」は古びる、盛りを過ぎる意である。次歌の第百十六首も「ふりにし」の語を用いており、同じ句が二首続いている。
結句「思はざらなん」の「なん」は他に対する願望で、思わないでほしい、の意である。
たづぬ:探し求める
ふる:古くなる、盛りを過ぎる
- 作者
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伊勢
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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たちよらぬ春の霞を頼まれよ 花のあたりと見ればなるらん
- 次の歌
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神さびてふりにし里に住む人は 都ににほふ花をだに見ず