神さびてふりにし里に住む人は
都ににほふ花をだに見ず
- 歌の意味
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神々しく古びた、布留という名のこの里に住む私は、都に美しく咲き匂う花さえ見ることがない。
- 鑑賞
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巻第三 春歌下 116
詞書「宮仕へしける女の、石上といふ所に住みて、京の友達のもとにつかはしける」
神々しく古びた里に住む身は、都に咲き誇る花さえ見ることがないと嘆いた歌である。かつて宮仕えをしていた華やかな都の暮らしを懐かしみ、遠く離れた里に暮らす寂しさを友に訴えている。
詞書によれば、宮仕えをしていた女が、石上という所に住んでいたとき、京の友人のもとに贈ったものである。石上は大和国の地名で、古い由緒をもつ石上神宮があり、布留の地を含む。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。
初句「神さびて」の「神さぶ」は、神々しく古びる意で、石上神宮のある古い土地柄を示す。
二句「ふりにし里に」の「ふり」は、古くなる意の「古り」と、石上の地名「布留」を掛けた掛詞である。前歌の第百十五首も「ふりにし」の語を用いており、巻第二の第四十九首の「石上ふるの山辺」にも同じ掛詞が見える。
三句「住む人は」は、その里に住む人、すなわち作者自身を指している。
四句「都ににほふ」の「にほふ」は花が美しく咲き映える意で、都に咲き誇る花を示す。
結句「花をだに見ず」の「だに」は、〜さえ、の意で、花さえ見ることがない、と都から遠ざかった寂しさを表している。
かみさぶ:神々しく古びる
ふる:古くなる意の「古る」と、地名の「布留」を掛ける
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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後撰和歌集
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君見よと尋ねて折れる山桜 古りにし色と思はざらなん
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み吉野の吉野の山の桜花 白雲とのみ見えまがひつつ