思はれぬ空の気色を見るからに
我もしぐるる神無月かな
- 歌の意味
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あの人に思われていないような冷ややかな空の様子を見るとすぐに、わたしも時雨のように涙をこぼす神無月であることだ。
- 鑑賞
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巻第九 雑歌上 313
時雨の降る神無月の空模様を見るにつけ、自分も涙を流してしまうと詠む一首である。「空の気色」に、自分を思ってくれない相手の様子を重ね、空の時雨と自分の涙とを一つにしている。
本巻の第三百二十四首も神無月の時雨を詠み、時雨の空を見る自分と、同じ空を見る他の人とに思いを向けている。
初句「思はれぬ」は、受身の「る」と打ち消しの「ず」の連体形で、思われていないという意を表し、相手につれなくされる身を暗示する。
二句「空の気色を」は、空模様をいい、相手の様子も重ねている。
三句「見るからに」は、見るとすぐにという意を表す。
四句「我もしぐるる」は、係助詞「も」で、空ばかりかわたしもという意を添え、時雨が降る意に、涙を流す意を重ねている。
結句「神無月かな」は、詠嘆の「かな」で、時雨の季節である神無月を示して結ぶ。
けしき:様子、ありさま
しぐる:時雨が降る。涙を流す
かみなづき:陰暦十月
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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詞花和歌集
- 前の歌
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人知れずもの思ふことはならひにき 花に別れぬ春しなければ
- 次の歌
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あだ人はしぐるる夜半の月なれや すむとてえこそ頼むまじけれ