涙さへ時雨にそひてふるさとは
紅葉の色も濃さまさりけり
- 歌の意味
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涙までもが時雨に加わって降る古里では、紅葉の色も濃さがいっそう増していることだ。
- 鑑賞
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巻第八 冬歌 459
詞書「返し」
涙までもが時雨に加わって降る古里では、紅葉の色もいっそう濃くなっていると詠んだ歌である。前歌で仲平が荒れた家の紅葉を錦にたとえたのを受け、その紅葉が濃いのは自分の涙が時雨とともに降りそそいだからだと答え、さびしく過ごした思いを伝えている。
前歌の藤原仲平の歌への返歌である。仲平が「木の葉は錦織りける」と詠んだのに対し、「紅葉の色も濃さまさりけり」と返している。涙を紅の涙と見て、紅葉の色を濃くするものとする趣向である。
作者の「伊勢」は、藤原継蔭の娘である。宇多天皇の中宮温子に仕え、のちに宇多天皇の寵愛を受けた。古今和歌集時代を代表する女流歌人で、三十六歌仙の一人である。
初句「涙さへ」の「さへ」は添加を表す副助詞で、涙までもが、の意である。
二句「時雨にそひて」は、時雨に加わって、の意で、時雨とともに涙が降ることをいっている。
三句「ふるさとは」の「ふる」は、涙や時雨が「降る」と、「古里」の「古る」を掛けた掛詞である。前歌の「荒れたる宿」を受けている。
四句「紅葉の色も」は、紅葉の色も、の意で、前歌の「錦」を受けている。
結句「濃さまさりけり」は、濃さが増したことだ、の意で、「けり」は詠嘆を表している。
ふるさと:「古里」の意と、涙や時雨が「降る」意を掛ける
- 作者
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伊勢
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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人住まず荒れたる宿を来て見れば 今ぞ木の葉は錦織りける
- 次の歌
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冬の池の鴨の上毛に置く霜の 消えてもの思ふころにもあるかな