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冬の池の鴨の上毛に置く霜の
消えてもの思ふころにもあるかな

歌の意味
冬の池の鴨の上毛に置く霜が消えるように、身も消え入るほどに物思いをするこのごろであることよ。
鑑賞
巻第八 冬歌 460

詞書「題しらず」
 冬の池の鴨の上毛に置く霜が消えるように、身も消え入るほどに物思いをするこのごろだと詠んだ歌である。冬の池の景を序として、恋の物思いに沈む心を表している。
 上の三句は「消え」を導く序詞で、冬の景物によって恋の思いを表している。本巻の第四百八十三首と第四百九十首も池や堀江の鴨を詠んでおり、鴨は冬の歌の景物として繰り返し登場する。
 作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。原文の作者表記は「よみ人も」とあるが、ここでは「よみ人しらず」として扱う。

 初句「冬の池の」は字余りで、冬の池の、の意である。本巻の第四百九十首と第五百二首も初句に「冬の池」を置いている。
 二句「鴨の上毛に」は、鴨の羽の表面の毛に、の意である。
 三句「置く霜の」は、置く霜が消えるように、の意で、初句からここまでが四句の「消え」を導く序詞となっている。
 四句「消えてもの思ふ」は、身も消え入るほどに物思いをする、の意で、霜が「消え」ることと、身が消え入るほど思い悩むことを重ねている。
 結句「ころにもあるかな」は字余りで、「かな」は詠嘆の終助詞である。このごろであることよ、の意である。

うはげ:鳥の羽の表面の毛
作者
よみ人しらず
出典
後撰和歌集
前の歌
涙さへ時雨にそひてふるさとは 紅葉の色も濃さまさりけり
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神無月時雨降るにも暮るる日を 君待つほどは長しとぞ思ふ