あはれてふ言だになくは何をかは
恋の乱れの束ね緒にせむ
- 歌の意味
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「ああ」という言葉さえなかったら、いったい何を、恋に乱れる心を束ねる緒にすればよいのだろうか。
- 鑑賞
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巻第十一 恋歌一 502
詞書「題しらず」
恋に乱れる心を、「あはれ」という嘆きの言葉がかろうじてまとめてくれていると詠む歌である。言葉を、乱れた糸を束ねる緒に見立てる知的な発想で、嘆きを口にすることで心の均衡を保つ恋する者の姿が表されている。「あはれ」という言葉そのものの力を主題とした点に特色がある。
初句「あはれてふ」の「てふ」は「といふ」がつまった形で、「あはれ」という感動の言葉をいう。
二句「言だになくは」の「だに」は、〜さえの意で、「なくは」は、もしなかったならばの意である。
三句「何をかは」の「かは」は反語を表し、結句の「む」と呼応して、何を〜しようか、何もないの意となる。
四句「恋の乱れの」は、恋のために乱れる心のの意である。本巻の第四百八十五首、第五百十四首の「思ひ乱れて」と、恋の乱れを共有している。
結句「束ね緒にせむ」の「束ね緒」は、乱れたものを束ねる緒のことで、「乱れ」「束ね」「緒」は糸の縁語である。本巻の第四百八十三首の「玉の緒にせむ」と同じ結びの形をとっている。
あはれ:感動や嘆きを表す言葉
つかねを:乱れたものを束ねる緒
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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古今和歌集
- 前の歌
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恋せじと御手洗川にせし禊 神は受けずぞなりにけらしも
- 次の歌
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思ふには忍ぶることぞ負けにける 色には出でじと思ひしものを