思ふには忍ぶることぞ負けにける
色には出でじと思ひしものを
- 歌の意味
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恋い慕う気持ちに、こらえ忍ぶ心が負けてしまった。決して顔色には出すまいと思っていたのに。
- 鑑賞
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巻第十一 恋歌一 503
詞書「題しらず」
恋心を隠し通そうとしていたのに、思いの強さに忍ぶ心が負けて、ついに表に出てしまったと嘆く歌である。「思ふ」と「忍ぶ」を勝ち負けで争わせる発想がおもしろく、恋を隠しきれなかった者の悔しさと戸惑いが率直に表されている。
初句「思ふには」は、恋い慕う気持ちにはの意で、二句の「忍ぶること」と勝負の相手として対置されている。
二句「忍ぶることぞ」は、こらえ隠すことがの意で、「ぞ」は係助詞で三句の「ける」と係り結びをなす。
三句「負けにける」は、負けてしまったの意で、三句で切れる。
四句「色には出でじと」は、顔色や態度には出すまいとの意で、「じ」は打消しの意志を表す。本巻の第四百九十六首は「色に出でなむ」と表に出そうとする心を詠んでおり、本歌の出すまいとした決意と対照をなしている。
結句「思ひしものを」の「ものを」は逆接の詠嘆を表す終助詞で、思っていたのにの意である。初句の「思ふ」と結句の「思ひ」が呼応し、一首を思いの語で包んでいる。
しのぶ:こらえる、人に知られないように隠す
いろにいづ:思いが顔色や態度に表れる
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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古今和歌集
- 前の歌
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あはれてふ言だになくは何をかは 恋の乱れの束ね緒にせむ
- 次の歌
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わが恋を人知るらめや敷妙の 枕のみこそ知らば知るらめ