滝つ瀬の中にたまつむしら波は
流るる水を緒にぞ貫きける
- 歌の意味
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激しく流れる早瀬の中で玉を積み集める白波は、流れる水を緒にして、その玉を貫いていることだ。
- 鑑賞
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巻第七 物名 369
詞書「松虫」
激しく流れる早瀬の中で玉のようなしぶきを積み集める白波は、流れる水を緒にして玉を貫いていると詠む歌である。水しぶきを玉に、流れる水を玉を貫く緒に見立てた趣向で、二句から三句にかけての「たまつむし」の音の続きに、詞書の「松虫」の名を隠している。詞書の「松虫」は、この歌に詠み込まれた物の名である。
作者の「忠岑」は、古今和歌集の撰者の一人で、壬生忠見の父である。三十六歌仙に数えられる。
初句「滝つ瀬の」は、激しく流れる早瀬の、の意である。
二句「中にたまつむ」は、中で玉を積む、の意で、しぶきを玉に見立てている。三句の頭の「し」と続けて「まつむし」の名を隠している。
三句「しら波は」は、白波は、の意である。本巻の第三百六十七首では露を玉に見立てており、玉の見立てが続く。
四句「流るる水を」は、流れる水を、の意である。
結句「緒にぞ貫きける」は、緒として玉を貫いていることだ、の意で、係助詞「ぞ」を受けて連体形「ける」で結ぶ。
まつむし:松虫。秋に鳴く虫。「玉積む白波」の音の続きに隠して詠み込む
たきつせ:水が激しく流れる瀬
を:玉を貫く紐。緒
- 作者
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壬生忠岑
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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山河はきのはながれず浅き瀬を 堰けば淵とぞ秋はなるらん
- 次の歌
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今来むと言ひて別れし朝より 思ひくらしの音をのみぞ泣く