水底のわくばかりにやくくるらん
よる人もなき滝の白糸
- 歌の意味
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水の底が湧き立つほどに、くぐって流れているのだろうか。縒る人も、近寄る人もいない滝の白糸は。
- 鑑賞
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巻第九 雑歌下 555
詞書「題しらず」
縒る人も近寄る人もいない滝の白糸は、水の底が湧き立つほどにくぐって流れているのだろうかと詠む歌である。滝の流れを白い糸に見立て、「縒る」と「寄る」、「括る」と「潜る」を掛けて、糸の縁語を連ねながら滝の様子を描いている。次歌の第五百五十六首とともに、滝を詠む歌である。
なお本文の結句は「たきのしらいと」とあり、読み仮名の行の「たきのいらいと」と一致しない。ここでは本文の表記に従う。
初句「水底の」は、水の底が、の意である。
二句「わくばかりにや」は、湧き立つほどに、の意で、係助詞「や」は三句の「らん」で結ぶ係り結びである。
三句「くくるらん」は、「くくる」が水を「潜る」と、糸を「括る」を掛ける掛詞である。「らん」は推量の助動詞の連体形で、ここで句切れとなる三句切れの歌である。下の句は主語を倒置して示している。
四句「よる人もなき」は、「よる」が糸を「縒る」と「寄る」を掛ける掛詞である。縒る人もいない、近寄る人もいない、の二つの意を重ねている。本巻の第五百二十首の結句「よるといふらん」が問うた、糸を縒る意の「よる」と同じ取り合わせである。
結句「滝の白糸」は、滝の流れを白い糸に見立てた語で、体言止めである。三句の「くくる」、四句の「よる」とともに、糸の縁語をなしている。
くくる:水を「潜る」意と、糸を「括る」意を掛ける
よる:糸を「縒る」意と、「寄る」意を掛ける
たきのしらいと:滝の白糸。滝の流れを白い糸に見立てた語
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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とどめても何にかはせん浜千鳥 古りぬる跡は波に消えつつ
- 次の歌
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音に聞く鼓の滝をうち見れば ただ山河の鳴るにぞありける