近江なるいやたか山の榊にて
君が千代をば祈りかざさん
- 歌の意味
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近江にある、いよいよ高いという名の弥高山の榊で、君の千代を祈って髪に挿そう。
- 鑑賞
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巻第十 神楽歌 610
詞書「天禄元年大嘗会風俗:弥高の山」
近江の弥高山の榊を手に、君の千代を祈りながら髪に挿そうと詠む歌である。地名の「弥高」に、ますます高くなる意の「いや高」を掛け、高まりゆく御代の栄えを、神事に用いる榊にこめて祈っている。
詞書の「天禄元年大嘗会風俗」は、円融天皇の即位に伴って天禄元年に行われた大嘗会で奉られた風俗の歌であることを示す。ここから第六百十七首まで、前の安和元年の一連と同じく、地名を題とする歌が並び、同じ地名が二度の大嘗会で詠まれている。
作者の「かねもり」は平兼盛である。光孝天皇の流れをくむ篤行王の子で、臣籍に降って平氏となった。三十六歌仙に数えられ、天徳内裏歌合で壬生忠見と競った百人一首の「しのぶれど」の歌で知られる。
初句「近江なる」は、近江国にある、の意で、第六百八首の三句「近江なる」と同じ句である。
二句「いやたか山の」は、「いやたか」が題の地名の「弥高」山と、ますます高い意の「いや高」を掛ける掛詞である。
三句「榊にて」は、榊で、の意で、巻頭の第五百七十六首、第五百七十七首の榊葉と同じく、神事に用いる榊を詠んでいる。
四句「君が千代をば」は、君の千代を、の意で、「ば」は「を」を強める。
結句「祈りかざさん」は、祈って髪に挿そう、の意で、「ん」は意志の助動詞である。
いやたか:題の地名の「弥高」山と、ますます高い意の「いや高」を掛ける
かざす:挿頭す。花や枝を髪や冠に挿す
- 作者
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平兼盛
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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今年より千歳の山は声絶えず 君が御代をぞ祈るべらなる
- 次の歌
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祈り来る三上の山のかひしあれば 千歳の影にかくて仕へん