祈り来る三上の山のかひしあれば
千歳の影にかくて仕へん
- 歌の意味
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祈り続けてきた三上の山の、その祈りの甲斐があるので、千年続く君の恵みのもとで、このようにお仕えしよう。
- 鑑賞
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巻第十 神楽歌 611
詞書「天禄元年大嘗会風俗:三上の山」
祈り続けてきた三上の山の祈りの甲斐があったので、千年続く君の恵みのもとでこうしてお仕えしようと詠む歌である。地名の三上の山の「峡」に「甲斐」を掛け、祈りが実って新しい御代を迎えた喜びと、その御代に長く仕えようという心を表している。安和元年の大嘗会の第六百一首から第六百三首も三上の山を題としており、二度の大嘗会で同じ山が詠まれている。
詞書の「天禄元年大嘗会風俗」は、円融天皇の即位に伴って天禄元年に行われた大嘗会で奉られた風俗の歌であることを示す。ここから第六百十七首まで、前の安和元年の一連と同じく、地名を題とする歌が並び、同じ地名が二度の大嘗会で詠まれている。
作者の「よしのぶ」は大中臣能宣である。伊勢神宮の祭主を務め、梨壺の五人の一人として後撰和歌集の撰進にあたった。三十六歌仙に数えられる。
初句「祈り来る」は、祈り続けてきた、の意である。
二句「三上の山の」は、近江国の三上山の、の意で、題の地名である。第六百一首から第六百三首の二句と同じく三上の山を詠んでいる。
三句「かひしあれば」は、「かひ」が山あいの「峡」と、効き目の意の「甲斐」を掛ける掛詞である。「し」は強めの副助詞である。第五百九十八首の三句「かひありと」と同じ掛詞を用いている。
四句「千歳の影に」は、千年続く君の恵みのもとに、の意で、「影」は君の恩恵をいう。
結句「かくて仕へん」は、このようにお仕えしよう、の意で、「ん」は意志の助動詞である。
かひ:山あいの「峡」と、効き目の意の「甲斐」を掛ける
かげ:影。ここでは君の恩恵、庇護
- 作者
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大中臣能宣
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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近江なるいやたか山の榊にて 君が千代をば祈りかざさん
- 次の歌
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今日よりは岩倉山に万代を 動きなくのみ積まむとぞ思ふ