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今日よりは岩倉山に万代を
動きなくのみ積まむとぞ思ふ

歌の意味
今日からは、岩倉山に万代の年を、揺るぎなく積み重ねていこうと思う。
鑑賞
巻第十 神楽歌 612

詞書「天禄元年大嘗会風俗:岩倉山」
 今日からは岩倉山に万代の年を揺るぎなく積み重ねていこうと思うと詠む歌である。地名の「岩倉」の岩の堅固さに、揺るがない御代を重ね、新しい御代の始まりの日から永遠の繁栄を祈っている。安和元年の大嘗会の第六百首も岩倉山を題とし、「動きなき」「積め」と同じ語を用いており、この歌はその趣向をそのまま受け継いでいる。
 詞書の「天禄元年大嘗会風俗」は、円融天皇の即位に伴って天禄元年に行われた大嘗会で奉られた風俗の歌であることを示す。ここから第六百十七首まで、前の安和元年の一連と同じく、地名を題とする歌が並び、同じ地名が二度の大嘗会で詠まれている。
 作者の「よしのぶ」は大中臣能宣である。伊勢神宮の祭主を務め、梨壺の五人の一人として後撰和歌集の撰進にあたった。三十六歌仙に数えられる。

 初句「今日よりは」は、今日からは、の意で、大嘗会の日を新しい御代の始まりとしている。第六百九首の初句「今年より」と呼応している。
 二句「岩倉山に」は、岩倉山に、の意で、第六百首の二句「岩倉山に」と同じ句である。
 三句「万代を」は、万代の年を、の意である。
 四句「動きなくのみ」は、揺るぎなくひたすら、の意で、第六百首の初句「動きなき」を受けている。
 結句「積まむとぞ思ふ」は、積み重ねていこうと思う、の意で、係助詞「ぞ」を受けて連体形の「思ふ」で結ぶ係り結びである。第六百首の結句「千代をこそ積め」と呼応している。

いはくらやま:岩倉山。題の地名
よろづよ:万代。限りなく長い年月
作者
大中臣能宣
出典
拾遺和歌集
前の歌
祈り来る三上の山のかひしあれば 千歳の影にかくて仕へん
次の歌
万代を明らけく見む鏡山 千歳のほどは塵も曇らじ