散る花にせきとめらるる山川の
ふかくも春のなりにけるかな
- 歌の意味
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散る花によってせき止められた山川が深くなるように、春もすっかり深まったことだ。
- 鑑賞
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巻第一 春歌 44
散った花びらに堰き止められて山川の水かさが深くなる様子に、春の深まりを重ねた歌である。目に見える川の深さから季節の深まりへと心を移していく構成が巧みである。
初句「散る花に」は、散った花びらによっての意で、受身の動作主を示す。
二句「せきとめらるる」は、堰き止められるの意で、「らるる」は受身の助動詞「らる」の連体形である。
三句「山川の」は、山の中を流れる川で、ここまでが四句を導く序詞となっている。
四句「ふかくも春の」は、川が深い意と、春が深まる意を掛ける掛詞である。第三十九首の「花の淵」と同じく、散る花が水を深くするという発想を受けている。
結句「なりにけるかな」は、詠嘆の「けるかな」で、春の深まりへの感慨を表す。第三十七首の結句と同じ句である。
ふかし:川が深い意と、春が深まる意を掛ける
せきとむ:流れをさえぎって止める
- 作者
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大中臣能宣
- 出典
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詞花和歌集
- 前の歌
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庭もせに積もれる雪と見えながら 香るぞ花のしるしなりける
- 次の歌
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一重だに飽かぬ匂ひをいとどしく 八重重なれる山吹の花