- 歌の意味
- 庭いっぱいに積もった雪のように見えながら、香りがすることこそが花である証しなのだった。
- 鑑賞
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巻第一 春歌 43
庭一面に散り敷いた花びらは雪と見分けがつかないが、香りがすることで花だとわかると詠んだ歌である。視覚では雪とまがいながら、嗅覚によって花と知るという感覚の転換に趣がある。
作者は花園左大臣源有仁とされる。
初句「庭もせに」は、庭も狭いほどにの意で、一面に散り敷く様子を表す。
二句「積もれる雪と」は、花びらを雪に見立てる表現で、第三十七首の「消えせぬ雪と」と同じ見立てである。
三句「見えながら」は、見えるもののの意で、逆接的に下へ続く。
四句「香るぞ花の」は、係助詞「ぞ」で香ることを強調する。
結句「しるしなりける」は、四句の「ぞ」を受けて連体形「ける」で結ぶ係り結びである。
しるし:証拠。目じるし
- 出典
- 詞花和歌集
- 前の歌
- 身にかへて惜しむにとまる花ならば 今日や我が世の限りならまし
- 次の歌
- 散る花にせきとめらるる山川の ふかくも春のなりにけるかな