時鳥鳴きつつ出づるあしひきの
山となでしこ咲きにけらしも
- 歌の意味
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時鳥が鳴きながら出てくる山、その山に大和撫子が咲いたらしい。
- 鑑賞
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巻第三 夏歌 196
詞書は前の歌に続き「題しらず」
時鳥の声を根拠として、山に撫子が咲いたと推し量る。原文では詞書が改めて記されていない。
作者の「大中臣能宣朝臣」は大中臣能宣(九二一〜九九一)である。伊勢神宮の祭主を務め、三十六歌仙の一人に数えられる。『後撰和歌集』の撰者に加わった。
場面は夏、場所は時鳥の出てくる山である。
詠まれた直接の契機は伝わらない。
初句
二句「時鳥鳴きつつ出づる」の「つつ」は継続を表し、鳴きながら山を出てくるさまをいう。第百九十二首の「深山出づなる」と同じ観念である。
三句「あしひきの」は「山」に掛かる枕詞である。巻第二の第百六十二首では「山吹」に掛けられていたが、ここでは本来の「山」に掛かる。
四句「山となでしこ」は、「山」と「大和撫子」を重ねた言い方である。「やまと」の音が「山」と「大和」の両方に働く。撫子は夏から秋にかけて咲く花である。
結句「咲きにけらしも」の「けらし」は「けるらし」の約で、根拠に基づく推定を表す。巻頭の第百七十五首と同じ形であり、そちらは干す衣を、こちらは鳥の声を根拠とする。「も」は詠嘆の終助詞である。
鳥が山から出てくるという事実を手がかりに、山の中の花の状態を推し量る構成であり、巻第二の第百五十八首
第百六十一首と同じ、見える徴から見えない事態を導く型である。
あしひきの:「山」に掛かる枕詞
やまとなでしこ:撫子。夏から秋にかけて咲く花
けらし:「けるらし」の約。根拠に基づく推定を表す
- 作者
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大中臣能宣
- 出典
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新古今和歌集
- その他の歌
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