時鳥一声鳴きて往ぬる夜は
いかでか人の寝を安く寝る
- 歌の意味
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時鳥が一声鳴いて去ってしまった夜は、どうして人は安らかに眠ることができようか。
- 鑑賞
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巻第三 夏歌 195
詞書は前の歌に続き「題しらず」
一声だけ聞いて去った時鳥のために眠れないと詠む。原文では詞書が改めて記されていない。
作者の「中納言家持」は大伴家持である。奈良時代の歌人で、『万葉集』の編纂に深く関わったとされる。巻第一では第二十首
第八十五首、巻第二では第百五十一首に現れた。
場面は夏の夜、場所は特定されない。
詠まれた直接の契機は伝わらない。
初句
二句「時鳥一声鳴きて」は、一度だけ鳴いて、の意である。第百八十九首の「一声もせぬ」に対し、こちらは一声だけあった場合である。二つの歌が、まったく鳴かない場合と一度だけ鳴く場合とを扱っている。
二句「往ぬる夜は」の「往ぬ」は去る意で、鳥が飛び去ったことを示す。
三句
四句「いかでか人の」の「いかでか」は、どうして、の意で、下の打消や反語と呼応する。
結句「寝を安く寝る」の「寝」は眠りをいい、「寝」と「寝る」を重ねた言い方である。安らかに眠る、の意になる。巻第二の第百六首の躬恒歌が「寝もやすく寝られざりけり」と詠んだのと同じ言い回しであり、そちらは花の夢で眠れず、こちらは鳥の声で眠れない。
一声だけでは足りず、かえって眠れなくなるという理屈であり、次の第百九十七首
第二百三首でも同じ不足感が扱われる。
いぬ:去る。行ってしまう
い:眠り。睡眠
いかでか:どうして
- 作者
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大伴家持
- 出典
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新古今和歌集
- その他の歌
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