海も浅し山もほどなし我が恋を
何によそへて君に言はまし
- 歌の意味
-
海も浅いし、山も低い。私の恋の深さや高さを、何にたとえてあなたに言えばよいのだろうか。
- 鑑賞
-
巻第十一 恋歌一 660
詞書は前の歌に続き「題しらず」
海も浅く山も高さが足りない、自分の恋を何にたとえてあなたに伝えたらよいだろうかと詠む歌である。深さや高さのたとえとされる海や山でさえ及ばないとして、恋の思いの大きさを強調している。前歌の第六百五十九首の「限りなければ」を受け、限りない思いを言い表すすべのないことを嘆いている。
初句「海も浅し」は、海も浅い、の意で、ここで句切れとなる初句切れの歌である。
二句「山もほどなし」は、山も高さが足りない、の意で、ここでも句が切れ、初句と対句をなしている。
三句「我が恋を」は、私の恋を、の意である。
四句「何によそへて」は、何になぞらえて、の意で、第六百三十七首の四句「よそふる人の」と同じ「よそふ」の語を用いている。
結句「君に言はまし」は、あなたに言おうか、の意で、「まし」はためらいを含む意志を表す。
よそふ:寄そふ。なぞらえる、たとえる
- 作者
-
よみ人しらず
- 出典
-
拾遺和歌集
- 前の歌
-
天地の神ぞ知るらん君がため 思ふ心の限りなければ
- 次の歌
-
奥山の岩垣沼の水隠りに 恋ひや渡らん逢ふよしをなみ