人知れぬ涙に袖は朽ちにけり
逢ふ夜もあらば何に包まむ
- 歌の意味
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人知れず流す涙で、袖は朽ちてしまった。もし逢う夜があったとしても、そのうれしさを何に包もうか。
- 鑑賞
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巻第十一 恋歌一 674
詞書は前の歌に続き「女のもとにつかはしける」
人知れず流す涙で袖は朽ちてしまった、もし逢う夜があっても、そのうれしさを何に包もうかと詠む歌である。詞書は前歌の第六百七十三首と同じで、女のもとに贈った歌である。うれしさを袖に包むという発想は、古今和歌集の「うれしさを何に包まむ唐衣」の歌に通じ、それを涙で朽ちた袖に転じている。次歌の第六百七十五首がこの歌への返しで、第六百七十六首とともに袖の朽ちることを詠む歌が続く。
初句「人知れぬ」は、人に知られない、の意で、第六百七十二首、第六百七十三首の初句と同じ句である。
二句「涙に袖は」は、涙で袖は、の意である。
三句「朽ちにけり」は、朽ちてしまった、の意で、ここで句切れとなる三句切れの歌である。第六百七十六首の結句「袖ぞ朽ちぬる」と同じく、袖が朽ちることをいう。
四句「逢ふ夜もあらば」は、逢う夜があったならば、の意で、第六百四十六首の四句「あらば逢ふ夜の」と同じ語を用いている。
結句「何に包まむ」は、うれしさを何に包もうか、の意で、「む」は推量の助動詞である。
くつ:朽つ。腐ってぼろぼろになる
つつむ:包む
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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人知れぬ思ひは年も経にけれど 我のみ知るはかひなかりけり
- 次の歌
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君はただ袖ばかりをや朽たすらん 逢ふには身をもかふとこそ聞け