よそにてもありにしものを花すすき
ほのかに見てぞ人は恋しき
- 歌の意味
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遠くからでも過ごしていられたのに、花すすきの穂がほのかに見えるように、ほのかに姿を見てからこそ、あの人が恋しい。
- 鑑賞
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巻第十二 恋歌二 732
詞書は前の歌に続き「女につかはしける」
遠くにいて逢わないままでも平気で過ごしていたのに、ほのかに姿を見てからというもの、あの人が恋しいと詠む歌である。「花すすき」から同じ音の「ほ」を導き、穂がほのかに見えるさまに、わずかに見た相手の面影を重ねている。わずかに見たからこそ恋しさがかき立てられる心を表している。次歌の第七百三十三首の「ほのかに見えし」と、ほのかに見ることを詠む歌が並ぶ。
初句「よそにても」は、遠く離れていても、の意である。
二句「ありにしものを」は、過ごしていたのに、の意で、本巻の第七百十二首と第七百二十八首の二句「ありにしものを」と同じ句である。
三句「花すすき」は、穂の出たすすきで、同じ音の四句「ほのかに」を導いている。
四句「ほのかに見てぞ」は、ほのかに見てからこそ、の意で、すすきの「穂」を響かせている。係助詞「ぞ」は結句の連体形「恋しき」で結ぶ係り結びである。次歌の第七百三十三首の四句「ほのかに見えし」と同じ語を共有している。
結句「人は恋しき」は、あの人が恋しい、の意である。
よそ:余所。遠く離れたところ、かかわりのない立場
はなすすき:花薄。穂の出たすすき
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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憂しと思ふものから人の恋しきは いづこをしのぶ心なるらん
- 次の歌
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夢よりもはかなきものはかげろふの ほのかに見えし影にぞありける