忘れなん今は問はじと思ひつつ
寝る夜しもこそ夢に見えけれ
- 歌の意味
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もう忘れてしまおう、今はもう訪ねまいと思いながら寝る夜に限って、あの人が夢に見えることだ。
- 鑑賞
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巻第十三 恋歌三 800
詞書「今は問はじと言ひ侍りける女のもとにつかはしける」
もう忘れよう、今は訪ねまいと思いながら寝る夜に限って、あの人が夢に現れると詠む歌である。詞書から、もう訪ねまいと言った女のもとに贈った歌とわかる。女の「今は問はじ」という言葉をそのまま取り込み、忘れようとしても夢に見えるほど思いが断ち切れないことを訴えている。
初句「忘れなん」は、忘れてしまおう、の意で、「なん」は強意と意志を表す。
二句「今は問はじと」は、今はもう訪ねまいと、の意で、詞書の女の言葉をそのまま用いている。
三句「思ひつつ」は、思いながら、の意である。
四句「寝る夜しもこそ」は、寝る夜に限って、の意で、「しも」は強意の副助詞、「こそ」は係助詞である。
結句「夢に見えけれ」は、夢に見えることだ、の意で、係助詞「こそ」を受けて「けれ」と已然形で結んでいる。ここから夢を詠む歌が続き、第八百八首と第八百九首でも夢に見ることを詠んでいる。
とふ:問ふ。訪ねる。安否を尋ねる
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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長き夜も人をつらしと思ふには 寝なくに明くる物にぞありける
- 次の歌
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夜とても寝られざりけり人知れず 寝覚めの恋に驚かれつつ