石上布留の社の木綿襷
かけてのみやは恋ひむと思ひし
- 歌の意味
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石上の布留の社の神官が木綿襷をかけるように、ただ心にかけてばかり恋い続けることになろうとは、思っていただろうか。思いもしなかった。
- 鑑賞
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巻第十四 恋歌四 867
詞書は前の歌に続き「題しらず」
布留の社の神官が木綿襷を肩にかけるように、ただ心にかけて恋い続けるだけになろうとは思いもしなかったと詠む歌である。いつかは逢えると思っていた恋が、思いを寄せるだけで終わろうとしている嘆きを、神事の装いにたとえている。
本巻の第八百六十二首と同じく「石上」で始まり、ここから第八百六十九首まで、神や社にかかわる歌が続く。
初句「石上」は、「布留」にかかる枕詞である。本巻の第八百六十二首の初句と同じ句である。
二句「布留の社の」は、大和国の石上神宮のある布留の社の、の意である。
三句「木綿襷」は、神事の際に神官が肩にかける、木綿で作った襷のことで、初句からここまでが「かけて」を導く序詞となっている。
四句「かけてのみやは」は、心にかけてばかり、の意で、「かけ」は襷を「掛け」る意と心に「かけ」る意を掛けている。「やは」は反語を表す係助詞である。
結句「恋ひむと思ひし」は、恋い続けようと思っただろうか、思いもしなかった、の意で、係助詞「やは」を受けて過去の助動詞「き」の連体形「し」で結んでいる。
ふるのやしろ:布留の社。大和国の石上神宮
ゆふだすき:木綿襷。神事の際に神官が肩にかける、木綿で作った襷
かく:襷を「掛く」意と、心に「かく」意を掛ける
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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杉立てる宿をぞ人は尋ねける 心のまつはかひなかりけり
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我や憂き人やつらきとちはやぶる 神てふ神に問ひ見てしかな