あたらしと何に命を思ひけん
忘れば古くなりぬべき身を
- 歌の意味
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惜しいなどと、どうして命を思ったのだろうか。あの人が忘れてしまえば、古びて捨てられてしまうはずの身であるのに。
- 鑑賞
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巻第十四 恋歌四 923
詞書は前の歌に続き「題しらず」
あの人に忘れられれば古びて顧みられなくなる身なのに、どうして命を惜しいなどと思ったのだろうかと詠む歌である。「あたらし」に惜しい意と新しい意を響かせ、「古く」と対比させて、恋人に忘れられた身のはかなさを詠んでいる。
初句「あたらしと」は、惜しいと、の意で、「あたらし」は惜しい意と、新しい意を掛けている。結句の前の「古く」と対比をなしている。
二句「何に命を」は、どうして命を、の意である。本巻の第八百七十首の「人の命の惜しくも」と、命を惜しむことを詠む点を共有している。
三句「思ひけん」は、思ったのだろうか、の意で、「けん」は過去の原因を推量する助動詞である。ここで句切れとなる。
四句「忘れば古く」は、あの人が忘れてしまえば古びて、の意である。初句の「あたらし」と「古く」で、新旧を対比している。
結句「なりぬべき身を」は、なってしまうはずの身なのに、の意で、「べき」は当然の助動詞、「を」は逆接を表す。次歌の第九百二十四首の「今は我が身の惜しけくもなし」へと、身を惜しまない心が続いていく。
あたらし:惜しい意の「あたらし」と、新しい意を掛ける
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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忘れじよゆめと契りし言の葉は うつつにつらき心なりけり
- 次の歌
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ちはやぶる神の斎垣も越えぬべし 今は我が身の惜しけくもなし