燃えはてて灰となりなん時にこそ
人をおもひのやまむ期にせめ
- 歌の意味
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恋の火に燃え尽きて、灰となってしまうその時こそ、あの人を思う思いの火が消える最期としよう。
- 鑑賞
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巻第十五 恋歌五 929
詞書は前の歌に続き「題しらず」
燃え尽きて灰となってしまう時こそ、あの人を思う恋の火がやむ最期としよう、と詠む歌である。死ぬまで恋の思いは消えないという激しい決意を、燃える火と灰に託して表している。
初句「燃えはてて」は、すっかり燃え尽きて、の意で、恋の火に身が燃え尽きることをいう。
二句「灰となりなん」は、灰となってしまうであろう、の意で、「な」は完了の助動詞「ぬ」の未然形、「ん」は推量の助動詞である。
三句「時にこそ」は、その時にこそ、の意で、係助詞「こそ」が結句の「め」と係り結びをなしている。
四句「人をおもひの」は、あの人を思う思いの、の意で、「おもひ」の「ひ」に「火」を掛けた掛詞である。「燃え」「灰」と縁語をなしている。本巻の第九百六十二首、第九百七十一首、第九百七十二首と、恋の思いを火として詠む趣向を共有している。
結句「やまむ期にせめ」は、やむ最期としよう、の意で、「期」は終わりの時をいう。「め」は意志の助動詞「む」の已然形で、三句の「こそ」の結びである。
おもひ:「思ひ」と、恋の炎の「火」を掛ける
もえはつ:燃え果つ。すっかり燃え尽きる
ご:期。終わりのとき、最期
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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拾遺和歌集
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生き死なんことの心にかなひせば 再び物は思はざらまし
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いづ方に行き隠れなん世の中に 身のあればこそ人もつらけれ