生き死なんことの心にかなひせば
再び物は思はざらまし
- 歌の意味
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生きるも死ぬも、心のままになるものであったならば、二度とこのような恋の物思いはしないだろうに。
- 鑑賞
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巻第十五 恋歌五 928
詞書は前の歌に続き「題しらず」
生きることも死ぬことも心のままになるのであれば、二度と恋の物思いなどしないだろうに、と詠む歌である。死ぬこともできずに恋に苦しみ続ける身のやるせなさを、かなわぬ仮定によって表している。
初句「生き死なん」は、生きることも死ぬことも、の意である。前歌の第九百二十七首が命を捨てることを詠んだのを受けている。
二句「ことの心に」は、そのことが心に、の意である。
三句「かなひせば」は、思いどおりになったならば、の意で、「せば」は過去の助動詞「き」の未然形に接続助詞「ば」がついたもので、事実に反する仮定を表す。
四句「再び物は」は、二度と物思いは、の意である。
結句「思はざらまし」は、しないだろうに、の意で、「まし」は反実仮想の助動詞で、三句の「せば」と呼応している。
かなふ:叶ふ。思いどおりになる
ものおもふ:物思ふ。恋に思い悩む
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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捨てはてむ命を今は頼まれよ 逢ふべきことのこの世ならねば
- 次の歌
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燃えはてて灰となりなん時にこそ 人をおもひのやまむ期にせめ