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世の中の人の心は花染めの
移ろひやすき色にぞありける

歌の意味
男女の仲における人の心は、花で染めた色のように、移ろいやすい色であったのだ。
鑑賞
巻第十五 恋歌五 795

詞書「題しらず」
 人の心を、露草などの花で染めた色落ちしやすい色にたとえ、そのはかなさを嘆く歌である。ここから「移ろふ」「花」「色」を共有して人の心の変わりやすさを詠む一連が始まり、次歌の「染め」、次々歌の小野小町の「色見えで移ろふもの」へと続いていく。

 初句「世の中の」は、男女の仲をいい、恋愛における人間関係を示す。本巻の第七百九十七首の三句と同じ語句である。
 二句「人の心は」は、恋人の心、あるいは人一般の心をいう。「は」で主題を示す。
 三句「花染めの」は、露草などの花の汁で染めたもので、色がさめやすいことで知られた。
 四句「移ろひやすき」は、色があせやすい意と、心が変わりやすい意を重ねる。
 結句「色にぞありける」は、係助詞「ぞ」を「けり」の連体形で結び、人の心は花染めの色であったと気づく詠嘆を示す。

はなぞめ:露草などの花の汁で染めること、またその色
うつろふ:色があせる、心が変わる
作者
よみ人しらず
出典
古今和歌集
前の歌
吉野川よしや人こそつらからめ はやく言ひてしことは忘れじ
次の歌
心こそうたて憎けれ染めざらば 移ろふことも惜しからましや