いづ方に行き隠れなん世の中に
身のあればこそ人もつらけれ
- 歌の意味
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どこへ行って身を隠してしまおうか。この世の中に我が身があるからこそ、あの人もつれなく思われるのだ。
- 鑑賞
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巻第十五 恋歌五 930
詞書は前の歌に続き「題しらず」
どこへ行って隠れてしまおうか、この世の中に我が身があるからこそ、あの人のつれなさもつらいのだ、と詠む歌である。恋のつらさの根を我が身の存在そのものに見出し、世から身を隠したいと願う深い嘆きが詠まれている。
初句「いづ方に」は、どの方角に、どこに、の意である。
二句「行き隠れなん」は、行って隠れてしまおうか、の意で、「な」は完了の助動詞「ぬ」の未然形、「ん」は意志の助動詞である。ここで句切れとなる。
三句「世の中に」は、この世の中に、の意である。次歌の第九百三十一首、第九百三十三首とともに「世の中」を詠み、恋のつらさを世の中との関わりで見つめる歌が並んでいる。
四句「身のあればこそ」は、我が身があるからこそ、の意で、係助詞「こそ」が強調している。
結句「人もつらけれ」は、あの人もつれなく思われるのだ、の意で、形容詞「つらし」の已然形「つらけれ」で四句の「こそ」を受けて結んでいる。
いづかた:何方。どの方角、どこ
ゆきかくる:行き隠る。どこかへ行って姿を隠す
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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燃えはてて灰となりなん時にこそ 人をおもひのやまむ期にせめ
- 次の歌
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在りへむと思ひもかけぬ世の中は なかなか身をぞ嘆かざりける